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【あやかし食堂2】プロローグ

 

キャラクターのイメージや設定はこちら(見ると文章のイメージがつかみやすいです)。

 

ここは元々原住民である妖(あやかし)と戦争で勝利し
た人間が共存する島。

 

 

戦争が終わって10年。

 

すっかり、人間が持ってきたハイテクな技術と機械、知識によりこの島も豊かになった。

 

妖も敗戦の経験により人間を受け入れて仲良くすることが出来るようになった。

 

 

ただ、それにより失われたものもあった。

それは妖の健康。
人間の持ってきた恩寵は全て妖の心と身体に合うとは限らなかった。

すぐ、アレルギーのような症状が出て亡くなった者。中毒を起こすくらいに乱用して依存から抜け出せなくなった者。少しずつ心身の機能が落ちて、老化も早まってしまう者。

 

……特に、飲食物の被害が顕著だった。特に戦後5年までは。

 

 

そして、島の都市部に小さな食堂がある。

元々は薬を作っていた家系の妖だったが、戦時中から少ない食材で周りの健康を守りたい。
そう考え薬堂を食堂に変えた。

 

この食堂を切り盛りしていた妖の双子の姉弟。

 

特に弟は終戦後。

人間の食べ物が増える中、新しい食材を妖に合うように料理の研究に励んでいた。

 

しかし、10年が経ったある日。弟の身体に異変が生じた。歩行障害により彼は厨房に出ることができなくなった。

 

代わりにいつもホールで持ち前の明るさとお世話好き、ちょっと料理は苦手な姉が1人でこの食堂を切り盛りすることになった。

 

介護とお店の両立。

長くは続かなかった。半年で弟の魂は旅立っていった。
姉はなんの迷いもなく食堂を完全に1人で再スタートさせる事を決意した。

また自分の料理を上達させる。お客様も新たに作って来る方が妖でも人間であっても元気になって欲しい。

 

その熱意と明るさを持って今日も【あやかし食堂】の看板を出していた。

 

 

フジ”

『よーーし。今日もよろしくお願いしまーーっす。』

 

 

 

 

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【あやかし食堂1】薬草スープ

 

キャラクターのイメージや設定はこちら(見ると文章のイメージがつかみやすいです)。

ここは人間が戦争により権利を得た妖(あやかし)の島。その島の中心都市にある小さな食堂。
フジという元薬師家系の妖が1人で切り盛りしている。

 

今日もある程度の家事を済ませて、時間がかかる料理を済ませて、ホール全体を掃除をして看板を外に出した。

 

 

「さーて看板も出したし、仕込みの続きっと。」

 

「お米も炊けたからおにぎりと茹でハーブを出せる、丸パンも焼けているからハーブサラダとセットで出せる…。あっ。薬草スープを作ってなかったわ!!」

 

「さて!!作りましょう。」

 

「えーっと、乾燥させた昆布をお鍋に入れて水で戻して。その間に・・・具材はなんでもいいんだけど…今日残っている物は…。」

 

冷蔵庫を探すフジ。しかし、あったのは緑と白のグラデーション野菜のみ。

 

「あっ。矢切ネギしかない!!んーー。でも生のままで小さく切ってその上から薬草スープをかければおいしいし、身体のいらない物を出す効果も強くなるからそれにしちゃおう。」

 

その頃ちょうど昆布がお鍋いっぱいに広がって海の香りが微かに広がっていた。

 

「よし、火をつけて、沸騰して出汁がしっかり取れたら昆布は取り出して。この昆布はまた佃煮や煮物に使えるから取っておいて。今日はシンプルに昆布のみの出汁で、そこに味噌を溶いて…薬草スープのできあがり。」

 

「よし、お客様が来たらご飯かパンかを選んでもらってメインはやっと慣れてきた魚の煮物。それにスープを出せば大丈夫。
1人でなんとかできる。」

 

「…それにしても最近は特に人間の食べ物や調理法が増えたから覚えることもしなきゃだけど、いらない物が身体に溜まって病気になることもあるからそれのコントロールはできるごはんは作りたいな。」

 

「…弟のショウみたいに若く亡くなったり、病気になったりする人が増えたら悲しいもの。」

 

こうしてフジは太陽の下で馬が楽しむランチ~太陽が沈んで鶏が月と出会う時間まで1人で無理なくこなせる時間までこの食堂を営業している。

 

そして、この都市にある小さな食堂へ来るお客も何かしら色々な想いを持ってやってくるのだった。

 

つづく。

 

Ps.ストリエ(2021年3月閉鎖)にありました【あやかし食堂】の物語もこちらのブログページでも出していきます。